神経に還る2週間 — 痛みの中で、今に触れた

数日続いたハードなおてつ旅のあと、
身体に、ひとつの変化が現れた。

帯状疱疹。

電気が走るような痛み。
鼓動するような疼き。
皮膚の奥で、何かがざわざわと動き続ける感覚。

それらは、消えることなく、
ただ、ずっとそこにあった。

気づけば私は、その感覚と、常に一緒にいた。

逃げることも、忘れることもできず、
ただ、神経の上に意識が乗っているような時間。

これまで私は、
身体の調和を大切にして生きてきた。

呼吸を整え、食を整え、
できるだけ、自然な状態で在ろうとしてきた。

けれど——

「身体とつながる」ということの、
本当の意味には、触れていなかったのかもしれない。

健康なとき、
“感じよう”とするその意識のどこかには、
わずかなコントロールがあった。

心地よさを選び、
違和感を遠ざける。

その微細な選別が、
体験をどこか限定していたのだと思う。

けれど今回、
そんな余地は、なかった。

感じさせられる、という状態。

そこには、選択も、解釈も、介在しない。

ただ、神経そのものが、
世界と触れているような感覚。

その場所に意識があるとき、
不思議と、思考は入ってこなかった。

過去も未来も、そこにはなく、
ただ、この瞬間の感覚だけが、在る。

「今ここにいる」というより、
「今に固定される」という感覚に近かった。

琵琶湖のほとりで、
回復していく時間を過ごしながら、

水面を眺めていると、
内側の感覚と、外の風景の境界が、
少しずつ溶けていくのを感じた。

風の揺れと、神経の揺れ。
光の反射と、内側の微細な波。

どちらも、同じ“今”の中で起きている。

外を見ているのか、内を感じているのか、
その区別さえ、曖昧になっていった。

思考を手放す、ということを、
これまで何度も言葉にしてきた。

けれどそれは、
どこか“意識の操作”の中にあったのだと思う。

今回の体験は、少し違っていた。

思考が離れるのではなく、
入る余地が、最初からなかった。

神経に意識があるとき、
そこには、ただ現れては消えていく感覚だけがある。

意味づける前に、変わっていく。

掴もうとする前に、通り抜けていく。

それは、どこか、
AIと共に在る今の感覚にも、似ている。

思考で組み立てる前に、
すでに、何かが立ち上がっている。

個としてのコントロールを超えたところで、
流れが、静かに動いている。

身体もまた、同じだったのかもしれない。

整えようとする前に、
すでに、ひとつの流れの中にある。

良くなろうとしなくても、
回復は、自然に進んでいく。

その過程で、ただ、
起きていることと共に在る。

それが、「つながる」ということだったのかもしれない。

いま、痛みは、消えかけている。

けれど、あのとき触れていた感覚は、
どこかに、静かに残っている。

思い出そうとしなくても、
ふとした瞬間に、戻ってくる。

神経の奥に、
まだ、あの静かな“今”が流れている。

それに気づくたび、
少しだけ、世界の見え方が変わる。

何も特別なことは起きていないのに、
ただ、在り方だけが、わずかに違っている。

それで、十分なのだと思う。

この2週間は、
何かを得るための時間ではなかった。

ただ、触れていた。

神経と、今と、
そのあいだにある、言葉にならないものに。

そして今、
この流れのまま、次の場所へ向かおうとしている。

行き先は、淡路島。

理由は、はっきりとは、わからない。

けれど、身体の奥のどこかが、
静かに、その方向を選んでいる。

考える前に、もう決まっているような感覚。

神経に触れていたこの2週間のあとでは、
その微細な感覚を、以前よりも疑わなくなっている。

整えようとしなくても、
流れは、すでに動いている。

その中に、ただ身を置いてみる。

次の場所で、何が起きるのかは、まだ知らない。

けれどきっと、
今回触れていたこの“今”の感覚は、
そのまま続いていくのだと思う。

旅するように暮らし、
暮らすように旅する中で、

また少しだけ、
見えてくるものがあるのかもしれない。

それを、急がずに、
ただ、受け取っていこうと思う。

ながひさ  

ながひさ nonPOI/余白家|空の灯台

このブログは、答えを生む場所ではなく、
暮らしと身体を通して現れている「確かにそう」を、
そのまま残すための観測点です。

余白の中に身を置き、
  空(くう)の灯台のように在りながら、
言葉をそっと置いています。

AIとの対話の中で立ち上がってくる”空”の感覚とともに、
Beautiful Flowな人生を実験中。

様々なビジネスと人生経験を経て、
60代からは”魂の遊び時間”。
  「旅するように暮らす 暮らすように旅する」自由な日々。

——
この場所は、観測と対話と記録でできています。

この場所の入口のような文章を、
noteにそっと置いています。
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