百合は、
花屋さんに並ぶ花だと
思っていた。
大切に切り取られて、
花瓶の中で咲く花。
だから、
朝、窓を開けて
草むらの中に咲く
白い花を見つけたとき、
少し、驚いた。
こんなところに
咲くんだ。
こんなふうに
咲くんだ。
ずっと蕾だったものが、
何もなかったように
朝の光の中で
ひらいている。
純潔も、
無垢も、
威厳も、
高貴さも、
純粋な愛も。
もしかしたら、
誰かに飾られるためではなく、
ただ自分の時が満ちたときに
咲くことなのかもしれない。
神さまは、
特別な場所にだけ
美しいものを置くのではなく、
思い込みの外側に
そっと贈りものを
置いていく。
今日、
花が咲いたのではなく、
私の見えていなかった世界が、
ひとつ咲いた。
そして、まだ
いくつもの蕾がある。
明日もまた、
窓を開ける。
次はどの花が
ひらくのだろう。
𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓂃𓈒𓏸
窓の外を見たら、ずっと蕾だった花が咲いていた。
それが百合だとわかって、なんだかうれしくなった朝。
まだいくつか蕾が残っているから、しばらくこの景色と一緒にいられる。
