雨の朝、本屋で拾った「今ちょうどいい」
今朝は雨だった。
ただ空から水が落ちているだけなのに、
少しだけ、いつもと景色が違って見えた。
朝の中で、ふと価値観が少し動いたような感覚があった。
うまく言葉にできないけれど、
頭より先に身体が何かを受け取っているような。
そんな朝だった。
そのあと、ぶらっと本屋へ行った。
探していた本があったわけじゃない。
ただ、少し歩くような気持ちで、
棚の間をゆっくり通り過ぎていた。
すると、入ってすぐに一冊の本が目に入った。
『世界100ヵ国のたびで、出会った人たちが教えてくれた人生で大切なこと』
そして、ページを開いた冒頭に書かれていた言葉。
いつからだろう?
旅が「いつか行きたい場所」ではなく
「今日ここで生きたい場所」になったのは。
そこで、一瞬止まった。
あれ?
これ、旅の話なのかなと思ったけど、
旅先の話ではなくて、
生き方の話かも。
昔は「いつか」が前にあった。
いつか行く場所。
いつか叶うこと。
いつか自由になる日。
でも最近は少し違う。
「旅するように暮らし、暮らすように旅する」
そんな言葉を置きながら生きているうちに、
目的地より、今日の空気の方が大事になっていた。
今日を、どこで生きたいか。
そんな感覚の方へ、少しずつ身体が動いていたのかもしれない。
そして、その本の中で出会ったタイのお坊さんの言葉。
悟りとは「今ちょうどいい」って思えること
なんだか、深いなと思った。
もっと、もっと。
人はつい次へ向かう。
あと少し整ったら。
あと少し自由になったら。
でも、ふと立ち止まって、
今の景色に向かって「ちょうどいい」と言えたら。
そこには、少し違う時間が流れている気がした。
完璧だからじゃない。
全部うまくいっているからでもない。
今の景色としては、これでいい。
そんな静かな頷きのようなもの。
雨の朝の小さな気づきから始まって、
本屋で一冊の本を拾って、言葉に出会った。
たぶん今日は、本を探しに行った日じゃなかった。
今の自分の現在地を、そっと拾いに行った日だったのかもしれない。
