ふと、福山の自分の部屋から窓の外を見た。
そこに柿の木がある。
誰にも取られずに残った実が、
干し柿のように甘く縮み、鈴なりになっている。
その実をめがけて、
鳥たちがふわりとやってくる。
食べて、
また飛んでいく。
しばらくすると、
また別の鳥たちがやってくる。
まるで、
「足りない」という概念を知らないみたいに。
鳥たちは、焦らない。
奪わない。
必要な分だけ、受け取っていく。
そして、また空へ帰る。
自然界って、
「循環前提」で動いている。
その様子を眺めながら、
胸の奥がふっとゆるんだ。
ああ、
安心していいんだ。
私が感じた安心感は、
思考じゃなくて、
身体で受け取った真実なんだと思う。
豊かさは、
どこか遠くにあるものじゃない。
取りに行かなくても、
競わなくても、
枝に残っていた。
時間の中で甘くなり、
ちゃんと実って、
必要な存在が、
必要なときに受け取りに来る。
お金も、食べものも、ご縁も——
本当は、あの柿と同じなのかもしれない。
減ることを怖がらなくていい。
守らなくていい。
私はもう、
流れの中にいる。
窓の向こうで、
鳥がまた一羽、実をついばむ。
それを見ているだけで、
十分、豊かだった。

コメント